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男子に課せられた兵役の義務「徴兵検査」

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徴兵検査

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✅明治になり定められた「徴兵令」

明治維新により1868年より開始された明治時代。
新しく開始された新時代の中で、旧時代とのギャップで問題がいくつも発生しました。その一つに明治新政府直属の軍隊がいないことが挙げられます。そのため、旧藩の藩兵を招集して「鎮台」を設置します。当初は東京・大阪・鎮西(小倉)・東北(石巻)でしたが、後に東京・仙台・名古屋・大阪・広島・熊本の六鎮台となります。

また、兵役を旧藩兵だけに負わせるのでなく、国民皆兵の理念から、1873年に「徴兵令」が布告されます。
これによって旧武士だけでなく国民全体が兵隊となる義務を負いました。しかし、現在でいう国家公務員であったり、「代人料」というお金を納めると徴兵が免除されるなどの抜け穴がありました。

✅改められた徴兵令「兵役法」

1873年に布告された徴兵令によって国民皆兵が実現されたと思いきや、前述したように抜け道も存在していました。
1927年になると徴兵令は「兵役法」と改められます。この「兵役法」では、17歳から40才の男子に兵役の義務があると定めています。なお、1943年以降は17才から45才と変更されております。

前年12月2日から当年12月1日に満20才となった男子は、4月から7月に市町村の公民館などで行われた徴兵検査を受けることになります。この徴兵検査で甲種合格となった男子は、2年間現役兵として各連隊区にて兵役生活を送らなくてはなりませんでした。なお、17才から兵役の義務を定めているので、20歳を待たずに自ら志願すれば徴兵検査を受けることができます。

✅徴兵検査

前述したように、満20歳となった男子は徴兵検査を受けることが定められました。
検査の内容は学力試験などは無く、身長・体重・胸囲・視力・病気の有無などで、その結果によって甲種・乙種(第1乙種・第2乙種)・丙種・丁種・戊種に分類されます。
また、検査の段階で歩兵・砲兵・輜重兵などの兵科も決定されていたようですが、その多くは歩兵とされたようです。

身長152㎝以上でガッチリとした強健な体格であれば甲種合格となりました。乙種においても健康そうであれば乙種合格となり、甲種と乙種の中の選ばれた人は現役として兵営に入営します。
乙種で入営しなかった者は「補充兵役」となり、後で必要に応じて召集されるので、その時に入営する必要があります。
丙種は体格や健康面で乙種に満たしていない者で、身体・精神の異常が無い者が丙種となります。体格や健康面で丙種にも満たないか、身体・精神異常があると丁種となり、病後の者は翌年再検査として戊種になります。
丙種・丁種・戊種は現役で入営することができません。

区分 基準
甲種 健強な体格 現役
乙種 第1乙種 健康な者で、現役を志願する者。
抽選で選ばれた者
現役
第2乙種 第1乙種以外の抽選で外れた者。 補充兵役
丙種 体格や健康面で乙種に満たしていない者で、身体・精神の異常が無い者。 現役には不適格だが、第2国民兵役に適する
丁種 身体・精神の異常がある者。 不適格
戊種 病前・病後・未決囚などで判定が難しい者。 翌年再検査

志願兵を奨励していた海軍は、これらの徴兵検査には基本的には関与しなかったが、不足があった場合は人員要請をすることがありました。

徴兵検査後の流れ(日本陸軍)

✅戦時と平時

軍隊というと、常日頃から最大の勢力を保有しがちに思われますがそうではありませんでした。
特に何もなく平和な「平時」の際は兵力を縮小しつつも、毎年の徴兵検査にて入営した「現役」「補充兵役」から入営した者の訓練等を行っていました。

戦争や事変が発生した際、平時のままの戦力では勝てるわけがありません。そんな時には各地で普通に暮らしている「予備役」「補充兵役」「国民兵役」を招集して「戦時」の体勢にしました。巷でいう「赤紙」は、これらの人の召集に使用された赤い紙のことでした。

✅期間の短縮などの例外

徴兵検査に甲種合格し、現役で兵隊となると2年間の兵役につく必要があります。しかし、軍事教練の合格証を所持する者は半年間の免除がありました。軍事教練は、各地にあった中学校や青年訓練所(青年学校)に配属された配属将校から軍事訓練を受けることです。試験に合格することで合格証が貰うことができました。

また、現役として徴兵されると家族が路頭に迷ってしまうと判断された場合は、2年間の猶予があたえられました。

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ポチ太郎

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