1875年、明治政府が成立し「賞牌従軍牌制定の件」が決められました。
ここで初めて賞牌(現:勲章)と従軍牌(後に従軍記章に改称)について定められました。
✅勲章と褒章
賞牌という形で始まった’’勲章’’
現代の日本でも’’勲章’’はよく聞く言葉です。
また、似たような言葉に’’褒章’’があります。
身近なところでは、オリンピック後などでスポーツ選手が’’紫綬褒章’’を受賞するニュースなどが流れます。
それぞれの違いとして、勲章は国家や公共のために長く従事した各界の人物に与えられ、年齢も50~60歳などの高齢の方が多いです。
そして褒章は特定の分野において優れた成績や功績を修めた人物に与えられます。
✅勲章の種類
1(旧大勲位) | 大勲位菊花章頸飾 だいくんいきっかしょうけいしょく |
旭日大綬章・瑞宝大綬章を授与されるべき功労より優れた功労のある方 |
||
2(旧大勲位) | 大勲位菊花大綬章 だいくんいきっかだいじゅしょう |
|||
3(旧勲一等) | 桐花大綬章 とうかだいじゅしょう |
|||
旭日章 きょくじつしょう 国家又は公共に対し顕著な功労のある方 |
瑞宝章 ずいほうしょう 国家又は公共に対し長く功労のある方 |
宝冠章 ずいほうしょう 女性や外国人に対する儀礼叙勲でのみ |
文化勲章 文化の発達に貢献した方 |
|
4(旧勲一等) | 旭日大綬章 きょくじつだいじゅしょう |
瑞宝大綬章 ずいほうだいじゅしょう |
宝冠大綬章 ほうかんだいじゅしょう |
文化勲章 ぶんかくんしょう |
5(旧勲二等) | 旭日重光章 きょくじつじゅうこうしょう |
瑞宝重光章 ずいほうじゅうこうしょう |
宝冠牡丹章 ほうかんぼたんしょう |
|
6(旧勲三等) | 旭日中綬章 きょくじつちゅうじゅしょう |
瑞宝中綬章 ずいほうちゅうじゅしょう |
宝冠白蝶章 ほうかんしろちょうしょう |
|
7(旧勲四等) | 旭日小綬章 きょくじつしょうじゅしょう |
瑞宝小綬章 ずいほうしょうじゅしょう |
宝冠藤花章 ほうかんほうかしょう |
|
8(旧勲五等) | 旭日双光章 きょくじつそうこうしょう |
瑞宝双光章 ずいほうそうこうしょう |
宝冠杏葉章 ほうかんきょうようしょう |
|
9(旧勲六等) | 旭日単光章 きょくじつたんこうしょう |
瑞宝単光章 ずいほうたんこうしょう |
宝冠波光章 ほうかんはこうしょう |
✅褒章の種類
紅綬褒章 こうじゅほうしょう |
自己の危難を顧みず人命救助に尽力した方 |
緑綬褒章 りょくじゅほうしょう |
長年にわたり社会に奉仕する活動に従事し顕著な功績をあげた方 |
黄綬褒章 おうじゅほうしょう |
農・工・商業に精励し衆民の模範となる方 |
紫綬褒章 しじゅほうしょう |
学術・科学・スポーツ等に関して優れた業績をあげた方 |
藍綬褒章 らんじゅほうしょう |
産業振興・社会福祉の増進・公共の事務に貢献した方 |
紺綬褒章 こんじゅほうしょう |
公益のために私財を寄附した方等 |
✅かつて存在した武勲勲章「金鵄勲章」
「金鵄勲章」は1890(明治23)年~1947(昭和22)年に存在した勲章です。
武勲をあげた軍人や軍属に与えられたことから’’唯一の武人勲章’’とされています。
最高位の功一級から功七級まであり、対象となったのは日清・日露戦争から第一次世界大戦・満州事変、太平洋戦争がありますが、太平洋戦争だけでも約60万人の受賞者がいました。
その中でも最高位の功一級は42人のみでした。
功一級 | 天皇直隷部隊の将官 |
代表的な人物 | 山縣有朋・大山巌・児玉源太郎・乃木希典・松井石根・東郷平八郎・山口多門・山本五十六・南雲忠一・有馬正文 |
功二級 | 功労ある将官、最高位の佐官 |
功三級 | 将官の初叙、功労ある佐官・尉官の最高功級 |
功四級 | 佐官の初叙、功労ある尉官・准士官・下士官の最高功級 |
功五級 | 尉官の初叙、功労ある准士官・下士官、兵の最高高級 |
功六級 | 准士官・下士官の初叙、功労ある兵 |
功七級 | 兵の初叙 |
✅従軍記章
従軍記章は、従軍した事を国家が証明・表彰するものであり、勲章のように武勲の有無は関係なく、従軍した者に等しく授与されました。
それは軍人・軍属であるなしに関わらず、民間人においても対象になりました。
また、本人死亡の場合は親族に贈られ、授与される際は「従軍記章」と共に「授与証書」も渡されました。
身に着けることで従軍したことを周囲に示すことができましたが、本人にのみ認められることでした。
それぞれの従軍記章は法令により実効性を有していましたが終戦により実効性は消失し、最終的には大日本帝国は8つ(太平洋戦争従軍記章は未授与)、満州国では一つの従軍記章が発行されました。
明治七年従軍記章 | 台湾出兵従軍者 |
明治二七・八年従軍記章 | 日清戦争従軍者 |
明治三十三年従軍記章 | 北清事変従軍者 |
明治三十七年従軍記章 | 日露戦争従軍者 |
大正三十四年(大正三十四年乃至九年戦没)従軍記章 | 第一次世界大戦およびシベリア出兵従軍者 |
昭和六年乃至九年事変従軍記章 | 満州事変および上海事変従軍者 |
支那事変従軍記章 | 支那事変従軍者 |
太平洋戦争従軍記章 | 太平洋戦争従軍者 |
国境事変従軍記章(満州国発行) | ノモンハン事件従軍者 |