黒しばわんこの戦跡ガイド

”大和ホテル’’と言われた「大和」の最期

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烹炊所(キッチン)の設備

世界的に見ても最大級の戦艦「大和」は世界唯一の46cm三連装砲を装備していた特別な戦艦ですが、艦内の設備も他の艦艇とは一線を画した充実した生活空間だったようです。

まず、弾薬を冷却するために弾薬庫用冷却機がありました。なぜ弾薬を冷却するのかというと、温度の上昇による弾薬の誘爆を防ぐことや性能の維持のためです。その余力を使い士官の居住区には冷暖房設備(エアコン)があり、また烹炊所(ご飯を作る所)には冷却機の余力を使った冷蔵庫がありました。それに加えて、東京芝浦電機製(現在の東芝)の食料用冷蔵庫が設置されていました。冷凍冷蔵庫、肉・野菜・生野菜庫などに分けられ、備蓄された食材の種類も豊富で納豆、蒟蒻、もやし、うどん、豆腐、おはぎ、汁粉などを製造していました。

炊事に関しても、ボイラーの蒸気を使用して米飯を600合も炊ける炊飯釜が6 基設置されている他、蒸気を使うものでは炊飯釜と同 サイズの菜釜が2基と傷病者用の粥をを作る200合用の粥釜が1基ありました。これ以外に電気調理器 として万能煮炊き機が5基用意されていました。また2基の合成調理器で大根の千切り、芋の皮むき、 挽き肉などの下ごしらえも行えたそうです。

そして調理士に関しても、士官用の烹炊所は兵員用と分けれていました。特に連合艦隊司令部用の烹炊所は有名ホテルや豪華客船の厨房で働いていた腕のよいコックが軍属として調理を 行っており、食器に関しても和食は黒塗り膳に盛られ、洋食には磁器製の食器 が使用されていました。また長官の食事の際には長官がナイフに触れた瞬間から司令部専属の軍楽隊による演奏が始まり、その後演奏が40分間行われました。



ラムネ製造機

 大和の艦内にはラムネ製造機が存在していました。これに関しては他の大型戦艦や補給艦にも存在していたようですが。当時、艦内で火事があった場合は炭酸ガス発生装置により消火をしていました。その消化設備を有効利用したのがこのラムネ製造機です。甲板での作業は潮風に吹かれたり、海水のしぶきが口内に入ってしまい喉が渇いてしまうことから兵員にはラムネが喜ばれていました。また、大和の冷凍設備を使用してアイスクリームも作られていたようです。アイスクリームに関しては、充実した設備の’’大和’’ならではの独自の嗜好品だったようです。

余裕のあるスペースとベッド、生まれる愚称

その巨大さから普段の生活スペースも他の艦船に比べると大和はかなり余裕がありました。通常、寝る時はハンモックが使われていた時代ですが大和に関してはベッドが使用されていました。しかし、大和型の姉妹艦の’’武蔵’’は火災予防のためにベッドは使用されませんでした。これらのような充実した設備や豪華な内装、その巨大さゆえに燃料が大量に必要になることからあまり戦闘に参加をせずに泊地に停泊していた時期が長いことから、当時統治下に建てられていた高級ホテルの大和ホテルとかけて戦艦大和を「大和ホテル」と揶揄した呼び方もされていたようです。また、姉妹艦の’’武蔵’’も実際に存在していた旅館にかけて「武蔵旅館」と言われていたようです。

丸の内にある楠木正成像

菊水作戦

戦艦’’大和’’の最期は、大本営から出された沖縄方面航空作戦’’天一号作戦’’とそれに呼応して海軍が打ち出した作戦’’菊水作戦’’により始まっていきます。「菊水」というのは鎌倉時代から南北朝時代に活躍した’’楠木正成’’の旗印(馬印)に由来しています。この楠木正成という人物は千早城での鎌倉幕府軍との戦いが有名で、幕府軍の大軍(太平記では100万人、数万人から10万人など諸説有)を楠木軍約1000人で倒した戦いです。様々な工夫で多勢を倒した楠木正成と幕府軍の関係は太平洋戦争における日本と連合国の関係を彷彿とさせます。そのことにあやかり菊水作戦と命名したようです。

大和は菊水一号作戦で沖縄方面に出発します。戦艦’’大和’’は日本の最高の技術を集約して作り出した艦船として、「一億総特攻の先駆けとなれ」という言葉のもとに海上特攻作戦を行います。大和は軽巡洋艦の’’矢矧’’と駆逐艦8隻を引き連れ沖縄に向かいますが、これに対して米国は空母7隻に軽空母4隻に艦載機を大量に載せて大和らを迎え撃ちます。米軍の艦上攻撃機・艦上爆撃機の攻撃はほぼ大和に対して行われ、日本側の護衛機もほぼ皆無の状態で数度の波状攻撃によって遂に九州南方の坊ノ岬沖に沈没します。

当初の作戦では、沖縄県の読谷海岸付近に乗り上げ砲台として活躍をする予定でしたが、それもかないませんでした。多くの期待をもって建造された戦艦’’大和’’でしたが、航空機主流の流れの中で満足な活躍ができず艦命を終えてしまうのです。





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ポチ太郎

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