1945年8月6日と同月9日、2発の爆弾が落とされました。
今まで投下されていた焼夷弾などと違い、「原子爆弾」と呼ばれる兵器です。
ただ「原子爆弾」といっても、広島県に投下されたのは「ウラン型原子爆弾(広島型原爆)」、長崎県に投下されたのは「プルトニウム型原子爆弾(長崎型原爆)」という違いがあります。
爆弾に使用された元素が「ウラン235」と「プルトニウム239」の違いですが、これらの元素の原子核が核分裂する時に生じる莫大なエネルギーを兵器としたのが「原子爆弾」です。
✅広島型原子爆弾(リトルボーイ)
長さ:3.0m
直径:0.7m
重量:4.0トン
核分裂物質:ウラン235
砲身型核爆弾とも呼ばれ、筒状の容器に隔離材を挟んで臨界量未満の核分裂性物質を配置し、起爆装置によって火薬を爆破することで2つの核分裂性物質を衝突させます。
臨界質量未満の2つの核分裂性物質が合体することで、臨界量を超え核分裂連鎖反応を起こし核爆発させます。
砲身型(ガンバレル型)核爆弾と呼ばれます。
✅軍都であった広島
現在は核兵器廃絶と世界恒久平和の実現を訴えている広島ですが、その前身は軍の重要拠点の町でした。
1873年に部隊最大の単位である「鎮台」が置かれました。
この鎮台は全国で6か所です。
1888年にはこの’’広島鎮台’’を土台として「第五師団」へと生まれ変わります。
また、1894年に始まる日清戦争の際には広島城に大本営が置かれ、明治天皇も戦闘指揮のために居住しています。(広島大本営)
第7回帝国議会も広島で開催され、立法・行政・軍事の最高機関と首都機能が一時的に広島に移りました。
1895年5月30日までの227日間、広島城にて指揮を執った明治天皇は皇居へ戻りました。
広島大本営の際に使われた建物は原子爆弾により破壊されています。
古くから軍施設が多く置かれていたことに加えて、大きな空襲の被害を受けていなかったことから原爆の影響を測定しやすいことから、広島は第一目標とされました。
✅爆心地
✅8月6日午前8時15分
広島の上空9500メートルを飛行していたB29(機体名=エノラ・ゲイ)により、原子爆弾「リトルボーイ」が投下されました。
リトルボーイは地上から約600メートルの空中で爆発します。
爆発により中心温度100万℃にもなる火球が発生、火球からの熱線により爆心地付近は3000℃から4000℃にもなりました。
熱線を浴びた住民はほぼ即死で長くても数日の命、11㎞の距離でも熱傷しました。
また爆風も発生し、10㎞圏内の家屋は破壊されています。
そして強い放射線が降り注ぎました。
目に見えない「放射能」は、直接浴びた人はもちろん、助けに向かった人も残留放射能により被爆させました。
原爆投下後に降り注いだ放射能を含んだ「黒い雨」も、浴びた人や黒い雨を浴びた植物を食すことから広い範囲に被爆被害を及ぼしました。
✅長崎型原子爆弾(ファットマン)
長さ:3.25m
直径:1.52m
重量:4.5トン
核分裂物質:プルトニウム239
全方向から爆発の圧力をかける「爆縮」という方法により起爆します。
球体のような構造の中に「中性子源」と「核分裂性物質(プルトニウム)」、それらを包むように「隔離材」と「火薬」を配置が配置してあります。
全方向からの爆破圧力によってプルトニウムが圧縮され、超臨界状態に達すると原子核分裂して核爆発が起こります。
インプロージョン型(爆縮型)と呼ばれる核爆弾です。
✅予備目標地であった長崎
原爆投下の第一目標地はなだらかな平野に工業地帯が広がった北九州市小倉でした。
原爆を搭載したB29(機体名=ボックス・カー)が小倉上空を飛行した際に視界不良であったことなどから、爆撃目標を長崎に変更しました。
視界不良の原因は「雲がかかっていた」や「前日8月8日にあった八幡空襲の煙が流れてきていたため」など諸説あるようです。
長崎には三菱重工業長崎兵器製作所や、戦艦大和の2番艦である「武蔵」を建造した三菱重工業長崎造船所などの海軍軍需工場が多く、九州の中でも発展していた町だったことから予備目標地とされました。
✅爆心地
✅8月9日午前11時2分
長崎の上空9600メートルを飛行していたB29(機体名=ボックス・カー)により、原子爆弾「ファットマン」が投下されました。
小倉と同様、視界不良でしたが一瞬の雲の切れ間から三菱製鋼所や三菱重工業長崎兵器製作所が確認できたことから投下が決まりました。
目標値から北に600mほど外れて投下されたファットマンは地上から約500m地点で爆発しました。
リトルボーイと同様、爆発により高温の火球が発生、火球からの熱線により爆心地付近は3000℃から4000℃にもなります。
爆心地では風速440m/秒の爆風と、衝撃波によって建物は崩壊しました。
キノコ雲は約9分で9000m上空まで発達、「黒い雨」を降らせました。