秋水地下燃料貯蔵庫のヒューム管
今回は千葉県柏市花野井に残る「ヒューム管」だべ
トッポみたいなパイプが住宅街の中に残っていますね!
1944年8月、日本本土を襲う米軍機「B-29(ボーイング B-29 スーパーフォートレス)」の迎撃の為、ある戦闘機の開発が進められていました。
その戦闘機の名前は「秋水(シュンスイ)」。
航空機の種別としては「局地戦闘機」とされ、本土上空の防衛に活躍する予定でした。
「秋水」は、技術将校がドイツから持ち帰った「メッサーシュミット(Me163)」の設計図を参考に陸海軍共同で開発されました。
ロケットエンジン搭載で、三菱重工業を中心にロケットエンジンは陸軍、機体は海軍が担当しました。
時速は約900m、高度1万mまで約3分半で上昇、装備した30㎜機銃で敵機を撃墜して滑空しておりてくるという戦闘機でした。
1945年7月には試作機が試験飛行を行いましたが、上昇中に発動機(特呂2号/KR‐10)が停止した後に墜落、操縦士が死亡しました。
その後終戦となったので、実際に本土の空で秋水を見ることはありませんでした。
局地戦闘機「秋水」の燃料は、甲液(過酸化水素)と乙液(メタノール+水化ヒドラジン)を化学反応させるものでした。
今回紹介する千葉県柏市花野井の遺構は、燃料に使用した過酸化水素を保存した地下保存庫の通気口です。
「ヒューム管」と呼ばれ、現在でも住宅街の中に残されています。
このヒューム管が残る花野井地区の西側、現:柏市柏の葉周辺に「柏飛行場」がありました。
柏飛行場は、藤ヶ谷飛行場・成増飛行場・谷田部飛行場・厚木飛行場と共に、秋水の基地に指定されます。
水化ヒドラジンを保管した地下保存庫は大室地区にありましたが、現在は宅地開発により跡形もなくなっています。