美田部隊監視哨
名称 | 美田部隊監視哨,糸数監視哨 | |||
住所 | 〒901-0606 沖縄県南城市玉城糸数 |
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解説 | 南城市の糸数城跡南側岩壁に残っている監視哨。 独立混成第44旅団の独立混成第15聯隊(美田部隊)による構築とされる。 糸数城崖下に放置されており、たどり着くまで草木を分け入ったり落石を越えなくてはいけない。 |
難度 | ||
C(草木が生え放題・落石) |


沖縄県の南城市に「糸数城跡」という場所があります。
南部でも最大級の大きさの城跡(グスク跡)で、琉球石灰岩を積み上げてできた物見台(アザナ)は首里城にも負けない迫力があります。
そんな糸数城の南側は岩壁になっています。
この岩壁の中ほどに、独立混成第15聯隊が監視哨を構築したとされ、現在でも遺構が残っています。
「独立混成第15聯隊」は美田千賀蔵を連隊長とした部隊です。
独立混成第44旅団隷下の部隊で、元々は沖縄本島北部・中部に配備されていましたが、第9師団が沖縄から台湾に移駐したことから配置が変更されて南部地域に移ってきました。
米軍が侵攻し、シュガーローフの戦いが起こった頃には那覇へ向かったようなので、監視哨を構築したのは1944年から1945年の米軍上陸前かと思われます。
✅監視哨がある糸数城南側岩壁

糸数城跡の南側には小規模のグラウンドがあり、そこから監視哨のある崖の外観を見ることができます。
基本的に崖付近は手付かずになっており草木が生え放題になっているので、グラウンドから監視哨自体を見ることは難しいと思います。
グラウンドの隅の草むらに入って崖方面を目指します。

✅崖下から見た監視哨跡


✅崖下に落ちた監視哨の一部

崖下から上を見てみると、明らかに自然物でない部分が目につきます。
そして、崖下も見てみると人工的に造ったコンクリートの大きな破片が転がっています。
その人工物までの高さは10m以上はあり、クライミングするのは無理な高さです。
✅監視哨に繋がる壕口


瓦礫を乗り越えて、崖下を見ていくと一つの壕口が開いています。
見た目では先ほどの人工物からは結構距離が離れておりますが内部でしっかり繋がっています。
✅入口から内部を見る

入口から中を見ると、すぐに土砂が道を塞いでいるのが見えます。
通れないかと思いきや、壕内も少し屈んで進めるくらいの高さはあるので、土の上を乗り越えて進むことができます。
✅待機スペース

土砂が溜まっている横には、人一人くらいが立ち上がれそうな待機スペースがあります。
✅緩やかな登り坂の壕内

✅壁面にはいくつも釘が打たれている


この壕の長さは約60m超で、監視哨までは緩やかな上り坂になっています。
壁面を見ると石灰岩質の地層を掘り込んだようです。
削岩機のロッドを刺したような穴がいくつかありましたが、この予想が当たっているのかは確認する術もなく。
✅緩やかな右カーブが終わると左カーブがある

緩やかな右カーブを登り終えるとすぐに左カーブがあります。
この付近は普通に立ち上がることもできるし、両手を広げても問題ないくらいの幅もあります。
たまにコウモリが飛んできます。
✅消えない足跡

この左カーブ付近には多数の足跡があります。
先客がいたのかと勘違いしてしまいますが、この足跡を踏んでみると固まっているのが分かります。
水の滴る壕内において、ただの土や泥なら形が変わらないなんてことは無いはずです。
考えられることは、この先の監視哨構築に使用するコンクリートをこの場所に溢してしまい、それを踏んで固まってしまったとか?
ということになると、この足跡の持ち主は日本兵ということになります。(確証はないですが…)
✅足跡集






✅足跡の道を抜けると右カーブ



右カーブを抜けた先は道が急激に細くなります。
✅監視哨に到着


細くなった壕内を更に進むと遂に監視哨に到着します。
緩やかな坂を登っていたとはいえ、崖下までの高低差に驚きます。
✅現在は崩壊してしまった監視哨


登り切って左側部分を見てみると、かつてはコンクリートで補強した監視哨が更に続いていたのが分かります。
しかし、現在は崩壊しきってしまい、崖下にはその残骸が大量に転がっているのです。
✅景色

この場所から西方向、八重瀬町や糸満方向を見渡せます。
左側を見てみると、更に監視スペースがあり、2つの監視窓も見えます。
✅缶ジュースが置けそうな棚

✅2つの監視窓


この2つの監視窓からは奥武島や新原地域が見えます。
米軍の上陸予想地点を現:八重瀬町港川などを想定していたため、この監視哨はその一帯を見渡せるように構築されたようです。
✅補強に使用されているレール





他の場所では補強用の鉄筋が露出していることは多いですが、この美田部隊監視哨ではトロッコなどのレールが使用されています。
資材が足りないためにレールを使っているのか、太い方が頑丈だからなのか、どちらかは分かりませんが。
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