小笠原諸島父島に残る「濱江丸」

本土から約1000㎞、太平洋のただ中に「小笠原諸島」があります。
父島・母島をメインにいくつもの島で構成されています。

戦中の小笠原諸島では特に父島と母島には、日本本土とサイパンなどの北マリアナ諸島の途中に位置するため、陸軍・海軍の部隊が配備されて砲台や陣地壕などが多数構築されて要塞化されています。
陸軍は「小笠原兵団(兵団長:栗林忠道 陸軍中将)」、海軍は「第7根拠地隊(後に父島方面特別根拠地隊に改称)」の他にいくつかの警備隊や通信隊がいました。

1944年7月に日本軍はサイパン島での戦いに敗北、米軍はより近い場所から本土爆撃をする為、小笠原諸島の一つである「硫黄島」が次の標的となります。
硫黄島には既に飛行場もあり、奪われてしまえばより容易に日本本土を爆撃されてしまいます。

「硫黄島の戦い」では、米軍と日本軍の地上戦が起こり1945年3月には兵団長である栗林忠道陸軍中将は戦死、硫黄島は奪われてしまいました。

父島・母島では地上戦は行われませんでしたが、度重なる空襲にみまわれています。

小笠原諸島父島の境浦海岸に沈んだ貨物船が確認できます。
この船は「濱江丸」という貨物船で、元々は大連汽船が所有する貨物船でしたが日本海軍に徴用された船です。
徴用された後は資源の輸送任務に従事していましたが、サイパンに停泊中に進攻してくる米軍から逃れるため、第4611船団に加入して日本本土へ向かいます。
しかし、航行中に米軍に補足され攻撃を受けて船団は壊滅してしまいます。

濱江丸は損傷のみで済んで命からがら硫黄島まで逃れますが、その後に移動した父島において米軍の攻撃を受けてしまうのです。
「スカベンジャー作戦」という小笠原諸島に対する米国海軍機動部隊の攻撃で、濱江丸は魚雷が命中してしまい座礁してしまいました。

戦争が終わった現在でも濱江丸は座礁した時の状態で放置され、海水魚の住処となっています。
海上に船体の一部が露出しているのを都道からでも確認できる他、ダイビングやシュノーケリングではすぐ近くまで接近することもできます。